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開封と封印
 

封印をして他見を許さない。古代から行われている儀式のひとつです。

 先日、天皇陛下のお使いである勅使によって、一年間閉封されていた正倉院の封印を解く「開封の儀」がテレビで報じられていました。ご承知のとおり、正倉院には聖武天皇ゆかりの名宝や天平文化の名品、そしてシルクロードを経て我が国にもたらされた舶来品など、約一万点にも及ぶ宝物が厳重に保管されています。千二百年以上も前の作品が散逸せず、しかもすばらしい状態で今日まで伝来してきたことはただただ驚異と言わざるを得ません。その理由として宝物が収められている環境が、高床式の校倉造りであるということ。そして勅封という厳格な管理によるところが大きな理由であることは言を待ちません。こうして厳重に保管されてきたそれらの宝物は「正倉院展」で鑑賞することができるのです。

 明治十七年(1884)、フェノロサと岡倉天心は法隆寺夢殿のご本尊として祀られている救世観音像を寺僧の反対を押し切って調査しました。当時、救世観音像には全身に白布が巻かれていました。フェノロサは『東洋美術史綱』に「凡そ五百ヤードの木綿を取り除きたりと思うとき最終の包皮落下し、此の驚嘆すべき世界無二の彫像は忽ち吾人の眼前に現れたり」と記しています。

 これは寺僧によって封印されていた尊像をフェノロサと岡倉天心が開封したということが言えるでしょう。

 当山にも秘仏とされる宝物があります。その中でも「絶対秘仏」として他見を許さないものが、金堂のご本尊弥勒菩薩像です。記録によりますと、三寸二分の黄金仏だと書かれていますが、実見した寺僧はおりません。

 十月から十一月にかけて三井寺と隣接している大津市歴史博物館において「大津国宝への旅」という開館二十周年記念特別展が開催されました。当山からも国宝・不動明王像(黄不動尊)、同・五部心観、同・智証大師坐像二躯(中尊大師・御骨大師)の秘仏を出陳しました。これらの宝物はすべて長吏猊下によって封印されていますので、出陳に当たっては開封をしていただかなければなりません。一山住職が読経する中、長吏猊下が開封の作法をされ、秘仏はお出ましになります。展示期間が終了しますと、開封時と同じように法要を行い、封印が行われて秘仏は厳重に保管されるのです。

  (梅村敏明)


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