小学五年生の児童が「私が大人になったら赤ちゃんを生めるのだろうか」と担任の教師に真剣な面もちで尋ねたという。

福島原発の放射能の拡散は広域に及び、子供達の心に迄名状し難い将来への不安の種を宿している。真に不憫で労しく、彼の地の子供達の心身の平安を諸仏・諸菩薩・諸天善神に祈らずには居られない。

水素爆発により放出された、数十種類の放射性物質は、やはり長崎に投下された原爆と同じ半減期が二万四千年以上もアルファ線を出し続けるプルトニウム（２３９）を始め、キュリウム・ヨウ素・ストロンチウム・イットリウム・セシウム他多数。

既に絶版となった少年少女向けの原子力情報資料室／理学博士監修／故高木仁三郎先生『ノンちゃんの原発のほんとうの話』・福井県小浜市／明通寺住職／中島哲演師著『原発銀座若狭から』。二冊の書物からは万物への慈しみの微風と、汲みとりきれない世の深い嘆きが伝わってくる。

笑いさざめき　道ゆく人ら
　　橋の向こうに　何有るや知らず（詠人不知）