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明治の求法僧 慧海(四)

 風光明媚なネパールのポカラで六日間逗留した慧海一行は、ポカラを後にして北に進みました。六日目にツクゼーという村に着きました。ここまでくれば大丈夫だと、護衛役として同行してくれた二人はカトマンズに帰っていきます。しかし問題は二人のポーターでした。同行の老婆が言うには、二人とも今はおとなしくしているが、過去には人を殺したことがある人物だと忠告しました。それは困ったと思案した慧海でしたが、酒盛りのあげく喧嘩を始めた二人に、これ幸いと礼金を払って解雇しました。巡礼の老婆にも小遣いとタカ(敬意を表して相手の首に掛ける薄絹)を与えて別れました。

  一人になった慧海は、かねてより機知を得ていたセーラブ・ギャルツァン博士を訪ねるべくロー州のツァーランに向かいました。五月中頃に着いたと記しています。村長の家の仏堂に寄宿することになり、ギャルツァン博士は向かいの離れに住んでいました。

  ツァーラン村の人達は非常に不潔で、一年に二度くらい身体を洗うのを見ただけで、しかもすっかり洗うのではなく、顔と首筋を洗うだけなので、いやに黒く光っているし、きたなさに辟易した慧海は他にも不潔さをいくつか報告していますが、ここでは省略しておいた方が無難なようです。

  さて、博士について毎日朝夕三時間ずつチベット仏教について講義を受けることになり、「その下調べに七時間あるいは八、九時間かかることもある。そうすると、日に十二時間から十五時間くらい勉強する」と言っています。一方、体力作りも忘れてはいませんでした。日曜日は博士の講義も休みでした。慧海はこの先道のない、しかも空気も希薄な雪山を越えていかなければならないので、休みの日には「石を背負って山の上に上る稽古をした」そうです。

  私も先日チベットに行きましたが、飛行機がラサに着陸したところが標高3,650メートル。富士山の頂上にも立ったことがありません。私の高所経験は大峯修行での八経ヶ岳(1,914メートル)が最高です。それが未知の領域にひとっ飛び。心配していた高山病の症状、頭痛が襲ってきました。まっすぐ歩くこともできません。ほろ酔い状態のお父さんみたい。これも症状のひとつだそうです。いつものようなペースで歩くと、たちまち酸欠状態になって大息をつかなければなりませんでした。とにかくスローペース。幸い私の場合、三日目からは身体も高度順応して、頭痛からは解放されましたが、酸欠状態には旅行中ずっと悩まされ続けました。 (梅村敏明)




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